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2025.12.16

なぜ乳がんは「運動」で再発リスクが下がるのか ― 脂肪細胞とホルモンの関係を基礎から ―

乳がんは、日本人女性にとって「最も身近ながん」

乳がんは、日本人女性が一生のうちに最もかかりやすいがんです。
およそ 9人に1人 が乳がんを経験すると言われています。

医療の進歩により、早期発見・治療によって
長期生存が期待できるがん になりました。
一方で、患者数そのものは 年々増加 しており、
多くの方が治療後の生活を長く過ごす時代になっています。

だからこそ今、
「再発しないだろうか」
「今の生活のままで大丈夫なのか」
という不安を抱える方が少なくありません。


再発リスクは「生活習慣」とも関係している

乳がんの再発というと、
「体質」「運」「もう防ぎようがないもの」
と感じてしまう方も多いかもしれません。

しかし近年、
運動習慣を持つことで、乳がんの再発・死亡リスクが下がる
ことが、複数の研究で示されてきました。

これは感覚的な話ではなく、
大規模な疫学研究に基づく医学的事実です。


運動で再発・死亡リスクが下がるというエビデンス

ハーバード大学の大規模コホート研究
「Nurses’ Health Study」では、

週に3〜5時間程度の速歩きを行っている乳がんサバイバーは、
死亡率・再発リスクが大きく低下していた

ことが報告されています。

ではなぜ、
「歩く」「体を動かす」といったシンプルな行動が、
乳がんの再発予防につながるのでしょうか。


乳がんの多くは「ホルモンに反応するがん」

乳がんの多くは、
エストロゲンという女性ホルモンに反応して増えやすい
「ホルモン感受性乳がん」です。

このタイプの乳がんは、

  • エストロゲンが多い

  • がん細胞が刺激されやすい

  • 再発リスクが高くなる

という性質を持っています。

そのため治療では、
エストロゲンの働きを抑える
ホルモン療法 が用いられます。


脂肪細胞は「エストロゲンを作る場所」

ここで重要なのが、
脂肪細胞とホルモンの関係です。

特に 閉経後 の女性では、
卵巣からのエストロゲン分泌はほとんどなくなります。

その代わりに、
体の脂肪細胞がエストロゲンを作る主要な場所
になります。

脂肪細胞の中には
アロマターゼ という酵素があり、
男性ホルモンをエストロゲンに変換します。

つまり、

  • 脂肪が多い
    → エストロゲンが多い
    → 乳がん細胞が刺激されやすい

という構造が成り立ちます。

これが、
体脂肪が多いほど乳がんの再発リスクが高くなる
医学的な理由です。


なぜ運動で再発リスクが下がるのか

運動をすると、
筋肉がエネルギーを使い、
そのエネルギー源として 脂肪が使われます

その結果、

  • 脂肪細胞が減る

  • アロマターゼの量が減る

  • エストロゲンの産生が抑えられる

という変化が起こります。

つまり運動は、
ホルモン感受性乳がんが増えにくい体内環境を作る
ことにつながります。

この仕組みは、
NCI(米国国立がん研究所)や
WCRF(世界がん研究基金)でも明確に示されています。


筋肉は「がんにブレーキをかける物質」を出す

運動、とくに筋肉を使う運動を行うと、
筋肉から マイオカイン という物質が分泌されます。

マイオカインには、

  • 体内の炎症を抑える

  • 免疫細胞の働きを助ける

といった作用があり、
がん細胞が増えにくい環境づくり に役立ちます。

歩行などの有酸素運動に加えて、
軽い筋トレを組み合わせることで、
この効果はさらに高まります。


「特別な運動」は必要ありません

ここで強調したいのは、
ハードなトレーニングや特別な運動は必要ない
ということです。

研究で効果が示されているのは、

  • 速歩き

  • 日常的な身体活動

といった、
継続しやすい運動 です。


運動は「治療の代わり」ではないが「大切な一部」

運動は、乳がんの治療そのものに代わるものではありません。
医師の治療が最優先であることは変わりません。

ただし運動は、
再発リスクを自分で下げられる数少ない手段
であることも事実です。


まとめ

  • 乳がんは日本人女性にとって最も身近ながん

  • 多くの乳がんはホルモンに反応して増える

  • 脂肪細胞はエストロゲンを作る場所

  • 運動で脂肪が減ると、再発リスクが下がる

  • 歩行+軽い筋トレが現実的で効果的

「なぜ運動が必要なのか」を理解することは、
再発予防に向けた大切な一歩になります。

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参考文献(エビデンス)

  • Holmes MD et al. JAMA, 2005

  • NCI(米国国立がん研究所):Physical Activity and Cancer

  • WCRF(世界がん研究基金):Diet, Nutrition, Physical Activity and Cancer

  • Nurses’ Health Study(Harvard University)

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