日本では現在、大腸がんはがんによる死亡数が最も多いがんです。
女性では死亡原因の第1位、男性でも上位を占めており、
その数は年々増加傾向にあります。
つまり大腸がんは、
「一部の人だけの病気」ではなく、
誰にとっても無関係ではいられない病気になっています。
大腸がんは、早期発見や治療の進歩によって
長期生存が期待できるがんになりました。
その一方で、治療後には多くの方が
再発しないだろうか
これまで通りの生活で大丈夫なのか
自分でできることはないのか
といった不安を抱えています。
実は近年、
「運動」が大腸がんの再発・死亡リスクを下げる
ことが、複数の研究で示されてきました。
ハーバード大学の研究グループによる
大腸がんサバイバーを対象とした研究では、
週に6時間以上の歩行などの身体活動を行っていた人は、
再発・死亡リスクが約30〜50%低下していた
という結果が報告されています。
ではなぜ、
「体を動かす」という一見シンプルな行動が、
これほど大きな差を生むのでしょうか。
その答えのひとつが、
インスリン抵抗性です。
インスリンは、血糖値を下げるためのホルモンです。
食事をすると血糖値が上がり、それを下げるために分泌されます。
しかし、運動不足や内臓脂肪の増加によって、
インスリンが効きにくい体になることがあります。
これが インスリン抵抗性 と呼ばれる状態です。
あまり知られていませんが、
インスリンには血糖を下げる以外に、
「細胞に成長しなさい」「増えなさい」
というシグナルを送る働きがあります。
本来はこれは、
筋肉や肝臓などの正常な細胞に向けられたものです。
インスリン抵抗性があると、
体は血糖を下げるために
より多くのインスリンを分泌します。
すると血液中では、
インスリンが多い状態が続きます。
この状態では、
インスリンそのもの
さらに IGF-1(インスリン様成長因子)
といった、
細胞増殖を強く促す物質が作用しやすくなります。
医学的には、
がん細胞の増殖が促される
本来起こるべき細胞死(アポトーシス)が抑えられる
ことが分かっています。
重要なのは、
大腸がんはこのインスリン・IGF-1経路に特に反応しやすい
という点です。
実際に、
2型糖尿病(インスリン抵抗性を伴う人)では
大腸がんの発症リスクが高い
インスリン抵抗性の指標が高い人ほど
大腸腫瘍のリスクが高い
といった結果が、
複数の研究やメタ解析で示されています。
運動をすると、筋肉は
インスリンを使わずに糖を取り込む
ことができるようになります。
その結果、
血糖値が下がりやすくなる
インスリンを大量に出す必要がなくなる
高インスリン状態が改善する
つまり、
がん細胞に送られる「増えなさい」という信号が弱まる
のです。
これが、
運動が大腸がんの再発・死亡リスクを下げる
非常に重要なメカニズムです。
ここで強調したいのは、
激しい運動や特別なトレーニングは必要ない
ということです。
研究で効果が示されているのは、
歩行
日常的な身体活動
といった、
誰でも始められるレベルの運動です。
もちろん、運動は治療の代わりではありません。
医師の治療を受けることが最優先です。
ただし運動は、
再発リスクを自分で下げられる数少ない手段
であることも事実です。
大腸がんは日本で最も身近ながんのひとつ
運動によって再発・死亡リスクが下がることが示されている
その背景には インスリン抵抗性 という明確な仕組みがある
運動は高インスリン状態を改善し、
がんが増えにくい体内環境をつくる
「なぜ運動が必要なのか」を理解することは、
再発予防への第一歩になります。
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Meyerhardt JA et al. J Clin Oncol, 2006
Giovannucci E. Cancer Causes & Control, 2001
Sandhu MS et al. JNCI, 2002
Ma J et al. JNCI, 2004
NCI(米国国立がん研究所)
WCRF(世界がん研究基金)